今月は旅をお休みして、これからの季節大活躍のスパークリングワインの造り方を紐解いてみましょう。
「スパークリングワイン」は、一般には3気圧以上のガス圧を持った発泡性ワインの総称で、1~2.5気圧は弱発泡性、0.5~1気圧は微発泡性と分けられます。
「sparkling wine(スパークリングワイン)」は英語での名称ですが、発泡性ワインは世界の様々な国と地域で造られています。
・フランス語だと ⇒ ヴァン・ムスー
・イタリア語だと ⇒ スプマンテ
・スペイン語だと ⇒ エスプモーソ
これらがワインのタイプを示す大きな名称で、造る地域や造り方によって呼称が分かれていきます。
各々、使用ぶどう品種、産地、製法、貯蔵期間などで一定の法的規制を受けています。
中でもシャンパーニュ(日本ではシャンパンと呼ばれていますが、正式にはシャンパーニュ)は、フランス・シャンパーニュ地方のみで、限定された品種を使用して、決まった醸造方法をクリアして生産されたものだけが名乗れるワインの名称です。
シャンパーニュ地方以外で造られたり、シャンパーニュでも瓶内二次発酵で造られないスパークリングワインは、シャンパーニュとは呼べません。
では、シャンパーニュやスパークリングワインはどうやって造るのでしょうか?
1)瓶内二次発酵方式
搾汁後、最初の発酵をタンクや樽で行い、瓶詰めした後2度目の発酵を瓶内でさせる製法。
フランスのシャンパーニュ地方で製造されているスパークリングワイン・シャンパーニュは、この方式で製造されていて、製造方法の中でも一番手間と時間がかかるため、比較的高価なスパークリングワインが多い製造方法です。
同じ製法で作られているスパークリングワインでは、スペインのカヴァが有名です。
2)シャルマ方式
密閉タンク方式とも呼ばれます。スティル・ワインをタンク内で二次発酵までさせてから瓶詰めする製法です。一度に大量に造ることが出来、ワインが空気に触れることがなくブドウ本来の香りを残したい時などに用いられます。
イタリアのスプマンテが有名ですが、瓶内二次発酵しかなかった時代にこの製法ができて、一気に手軽にスパークリングワインが楽しめるようになりました。
3)トランスファー方式
一旦瓶内二次発酵させた炭酸ガス含有の発泡性ワインを、圧力を加えたタンクに移し(炭酸ガスがワイン中から逃げないように)、冷却・濾過してから新しいボトルに詰め替える方式です。瓶内二次発酵方式を簡略化したものといえるかもしれません。
大量生産ができ、かつ瓶内二次発酵に近い味わいが楽しめる製法です。
4)炭酸ガス注入方式
発酵が終了したスティル・ワインに、タンク内や瓶詰めする際に強制的に炭酸ガスを注入する製法です。
こちらも大量に品質の安定したスパークリングワインができるので、最初にスパークリングワインを飲まれる方や気軽に楽しまれる方には最適です。
5)田舎方式
メトード・アンセストラルや先祖伝来方式などと呼び方はありますが、発酵途上のワインを瓶に詰め、密閉して、残りの発酵を瓶内で行います。
一言でスパークリングワインといってもバラエティーは非常に豊かで、地域、製造方法、品種による違いなど、多種多様な味わいが楽しめます。
シャンパーニュ以外のフランスのヴァン・ムスーには、クレマン・ダルザス、クレマン・ド・ジュラなどのように、地方の名前の前に「クレマン」とついたワインがあります。
「クレマン」は「泡が半分取り除かれた」という意味で、名前の通りシャンパーニュの瓶内ガス圧が5‐6気圧なのに対し、クレマンは3.5気圧と優しい泡立ちが特徴です。
また、アルコール度数は11.5度と定められており、比較的飲みやすいというのも特徴の一つです。
今月は、シャンパーニュでもない、クレマン・ド・ブルゴーニュでもない、新たな独自の世界観「VIN EFFERVESCENT」をリリースするDame Jeanne(ダム・ジャンヌ)をご紹介いたします。
Dame Jeanne Prémices Roses(プレミスローズ)
日本初入荷!の大注目作品です!!
シャンパーニュ「マリー・クルタン」の当主で、シャンパーニュを代表する女性ビオディナミストであるドミニク・モローの娘ジャンヌ・ピオロが、シャンパーニュ(オーブ地区)との境界に接するブルゴーニュ(シャブリ・オーセロワ地区)のモレーム村に、2017年に拓いたドメーヌです。
創業当初より、お母さん譲りのビオディナミを実践。コンポスト(ビオディナミに使用する堆肥)も、お母さんのものを共用しています。
「私は、美味しいものを食べること、大自然と触れ合うこと、そして写真、の3つに情熱を持っています。なので、心から喜んで、母と同じ道を歩むことに決めました」。
ご紹介する「プレミス」(=始まり)は、お母さんの作品と同様にSO2の使用を極少量に抑えて造られた、シャンパーニュ方式によるスパークリングワインです。
24ヶ月間の瓶熟成、手作業による動瓶、ノンドゼでのデゴルジュマンを経て、2020年10月に、全世界に向けて初リリースされました。
「この村に特有の赤土がふかふかの畑で、夕方にぶどうの葉がゆっくりと風にそよぐ情景を想像してもらえるような、繊細なワインを造りたいと思います。それはキラキラとした装飾や豪華な衣装を身にまとわない、ピュアなワインです。お友達や家族との美味しい食事に、笑顔と幸福感を運んでくれるワインです。
【インポーターコメント】
ピノ・ノワール100%使用。
しっかりと果実のニュアンスを感じる事ができるロゼスパークリング。
キュヴェ名である「プレミスローズ」は「バラ色の始まり」を意味するように、アロマからもしっかりとローズを感じ取ることができます。
ガス圧はしっかりと感じる事ができ、シャンパーニュを彷彿とさせるキメ細かい泡立ちが持続します。
また、ザクロ・ローズ・チェリー・スモモなど赤を連想させるアロマ。
天然酵母由来のイースト香、若干の酵母の香りもまだ残っているのでもう少しすると更に良くなると思います。
程よい刺激と、細かな泡立ち、ノン・ドゼ(加糖なし)由来のアフターの切れ味は、流石と納得の味わいです。